リー代数にはいわゆる普通の積がありません。しかし、普通の積を考えた方が便利な場合もあります。そこで、リー代数を自然に拡張したような、うまい結合代数を構成することにします。
それが、普遍包絡環(universal enveloping algebra)と呼ばれるものです。
をリー代数、 を 加群とすると、次が成り立ちました(定義の条件の1つでした)。
- (、)
この式をぱっと見ると、 というものが に作用しているような気もします。実際には というものは には存在しませんし、 は という意味しか持たないのですが。
といっても、表現の言葉を使えば(表現を とすると)、 は となります。こういう形で見ると、 というものはあります(この場合の積は、リー代数ではなく、結合代数 上の積です)。そう考えると、 というものの存在を認めてやってもいいような気がしてきます。
これを認めてやるには、テンソル積を考えればうまくいきます。もちろん、単純にテンソル積だけではだめですが、 という関係式を入れてやれば良いです。具体的な記述は次回に。