代数多様体

さて、代数多様体の定義から入ります。代数多様体とは、いくつかの変数をもった、いくつかの多項式の共通の零点のつくる集合です。

・・・と、あっさり言われてもピンときません。多項式は分かりますが、零点の集合というのがイメージがつかめません。幾何のイメージに弱いかも・・・。とりあえず具体例を考えてみます。


具体例は、2変数、1多項式で考えます。

まず、x^2 + y^2 - 1 を考えます。この零点の集合というと、x^2 + y^2 - 1 = 0 の解の集合です。つまり、半径 1 の円ですかね。実数の範囲なら。

ところが、代数多様体複素数の範囲で考えたいようです。まあ、代数的な扱いを考えるなら、代数的閉体で考えた方が都合がよさそうなことは想像がつきます。しかしそうすると、x^2 + y^2 - 1 = 0 の解の集合というのはあまりピンときませんね・・・。

とりあえず、2変数の場合の代数多様体というのは \mathbb{C}^2 の部分集合になるわけだな。

では、別の例として x^2 + y^2 を考えます。零点は、実数の範囲では (0,0) しかありませんが、複素数の範囲では多くあります。x^2 + y^2 = (x + iy)(x - iy) ですから、零点集合は x = iy であらわされる線型部分空間と x = -iy であらわされる線型部分空間との和です。

うーん、少しは見えてきた? まあ、後でもう少し詳しく見るようなので、どんどん先に進むことにします。