リー代数のルート

半単純リー代数は、カルタン部分代数を軸に、ルート空間分解という直和分解が可能です。この分解がリー代数の構造を見通し良く表します。


\mathfrak{g}標数0の代数的閉体 K 上の半単純リー代数H\mathfrak{g}カルタン部分代数とします。

H が可換であることから、ad(H) が可換であることが分かります(ヤコビの恒等式より)。したがって、ad(H) は同時対角化可能(同じ基底で対角化できる)です。

同時固有空間分解を考えると、\mathfrak{g} = \oplus \mathfrak{g}_\alpha という直和分解ができます。ここで、\mathfrak{g}_\alpha := \{ x \in \mathfrak{g} | \forall h \in H, [h,x] = \alpha(h)x \}\alpha : H \to K です。

この分解をルート分解と呼びます。\mathfrak{g}_\alpha \neq 0 となる \alpha (\neq 0) をルートと呼びます。

また、\mathfrak{g}_0 = H です(これを示すには若干の議論が必要ですが)。